ハラプリのたわごと

PTハラプリのたわごと① :「腰痛の運動療法」

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【1-1.腰痛について思うこと】

腰痛の八割が原因不明、ということは聞いたことがあるでしょうか。

むしろ原因がわかるものは少数派で、
その多くは脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどです。

これについてはたくさんの本が出ていますので、それを読んで欲しいと思います。

腰部には、痛みをだす組織が数多くあります。

例えば、骨・関節で言えば、椎間関節や、仙腸関節へ加わるメカニカルストレスは「ズキン」とした「局所的な」強い痛みを出しますし、

逆に、「重い、ズーンとした」「鈍痛」「縦に広がるような」痛みについては、筋・筋膜性、姿勢性の痛みを始めに疑ってもよいのではないでしょうか。

いずれにせよ、
痛みの発生する場所(の解剖学的な知識)や、痛みの種類、痛みの出方などによってアプローチが異なって来ます。

腰痛の「効果が出る、痛みが減弱する」運動療法を行うためには、
専門的な知識、すなわち、解剖、運動学、生理学の知識が必要となります。

私は長年に渡って腰痛、頸部痛の患者に運動療法を指導してきました。

しかしながら、腰痛の外来患者の訴えは様々で、当然のことながら一人ひとりが違った痛み、しびれを言います。

ひとつひとつの症状について、この場で言うことは不可能なのですが、
いわゆる「疼痛を減弱させるための運動療法」について、みなさんがある程度、方針として挙げてみるといいよ!という事柄はあります。

それは、たった2つです。

1つは「良い姿勢を保つ」もう1つは「股関節を柔らかくする」です。

【1-2.良い姿勢を保つ】

良い姿勢を保つのは、容易ではありません。

坐位姿勢を例にとってみます。座位は、意外と不安定な姿勢である、ということができます。

その理由ははっきりしている、と思います。

それは、座位では、体幹が坐骨の上でバランスを取らなくてはいけないからです。

写真のように、座位では「坐骨」という狭い場所で、体幹や頭部を支えなくてはなりません。

ですから、座るためには、実は腹筋や背筋、上体(肩甲骨や頸部)、股関節周りの筋肉、骨、靭帯などが総出で協力しなければいけないのです。

もちろん、

「あー、やっと座れたわあ、らくちん、らくちん。」

デパートでバーゲンの後に、なんとか座れる場所を見つけた大阪のおばちゃんみたいな、ズデッとした座り方であれば、十分ラクでしょう。

 これは、安楽を求めるがために、坐骨の上で座ることを避けた姿勢と言えますが、でもそれって、明らかに腰に悪いでしょう?

では、皆さんは、どのように患者さんに「良い姿勢」を指導しますか?

意外と難しいんですよ、コレ。

ただ単に「背筋を伸ばして!!ほらあ、また曲がってきたあ」なんてアバウトなことこと、言ってませんか?

私の指導の方法もアバウトなのですが、「いい姿勢」の定義があいまいなので、どないもこないも、ないのですが、
私はいつも次のような方法でご指導します。

これは、マッケンジー法の方法で“slouch and over correct sitting”と言い、姿勢矯正を目的として行われます。

slouch and overcorrect sitting(スラウチ・オーバーコレクト)
① 背もたれのないイスに、リラックスし背中を丸めて座ります。この時、顎は前に出ています。いわゆる「不良姿勢」です。 
② この姿勢から、腰椎前弯が最大限に強くなるように、背すじをグッと伸ばし、顎を引いた姿勢へと動く。
③ ①②を、数回繰り返す。
④ 最後に②の状態になり、そこから「10%」力を抜いた姿勢をとる。

“slouch and over correct sitting”によって、
患者さん自身が、不良姿勢を理解してくれますし、
ここから、自身に負担がかからない姿勢を見つけていくこともできます。

経験的には、ハンズオフ(セラピストが徒手的な用手接触を用いない)で行う方が、うまく行く場合が多いです。

【1-3.股関節を柔らかくする】

腰痛患者さんは、実に、股関節の可動域制限や、股関節周囲の筋の短縮がある人が多いです。

解剖学的にとらえてみると、股関節は腰仙関節の「ほぼ隣接関節」なんですね。

もちろん、仙腸関節があるので、正確には隣接ではないのですが、しかしながら仙腸関節の動きはそんなに大きくはないので、隣接する関節ととらえていいのではないでしょうか。

(もちろん、仙腸関節は様々な痛みの原因となり、痛みのデパートみたいな場所です。これについては、後に書きます)

ここで、下の写真を見て頂けると、股関節周囲の硬さが腰椎に影響するということの一例が分かると思うのですが、どうでしょうか。

この方は、ハムストリングスの短縮があります。

この方が前屈すると、写真のように、腰椎本来の関節運動である「滑らかな屈曲」が起こらず、腰椎はあまり屈曲しないで、いきなり、上位腰椎での急激な屈曲が(代償的に)起こっています。

こういった、代償的な腰椎の過度な屈曲などのメカニカルストレスは、椎間板に影響したり、椎骨の変形につながったりする恐れがあります。

加えて、腰椎は解剖学的に「回旋可動域は大きくない」というのも重要です。一つ一つの椎体間の回旋角度は10度程度しかありません。

これは同時に、腰椎は回旋の動きに弱いということを意味します(椎間板の構造と関係があります。後に書きます)。

下の写真を見ると、
(ゴルフのスウィングで代表しますが、他の回旋動作でも同じです。)
腰を回す動きにおいて、腰椎の回旋は大きく起こらず、これは実は股関節を回しているのですね。

ですから、仮に股関節が硬かったり、回旋させる筋が硬かったりすると「腰を回す」動きの中で、腰椎にとても負担がかかるわけです。


 
長くなるので、ここらでいったん終了!!

次回も、よろしくたわごとを聞いてくださいね!!

<続>

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