5分で臨床推論

第19回:体幹を後ろにそらした時に、腰がじわじわ痛む

PTブログ:ハラプリの5分で臨床推論を立てよ⑲

ハラプリ
ハラプリ
はあい。(*’▽’)/

えっ、お前は誰かって?

これは失礼しました、こんにちは、PTハラプリです・・・・・。

私は解剖学と運動学をもとに患者を診ることを大事にしています。

そこから逸脱すると論点がずれ「もやっと」いてしまうからです。

患者さんの症状を、解剖学、運動学の視点から診て、考えていくと、「これ以外あり得ないな」というところまで行きつくことがあります。

そうして患者さんの症状が緩解すると、なかなか快感です。

(なお、このブログは事実をもとにしておりますが、フィクションです。)

【症例】

ある昼休み。

マヤオ
マヤオ
「腰が、、、腰がああああ!!

僕の腰がああ!!

助けて~!!」

当施設のセラピスト、北島マヤオである。
普段は大人しいのだが、演劇部に所属していたせいかいちいちドラマチックな男である。
もともと腰痛があったとのことだが、時期ははっきりしない。

体幹の伸展でL4、L5のあたりに鈍痛があり、左右に広がるよう感じになるとのこと。
昨日、患者さんを移乗介助したときに痛みが出現し、「じわじわした痛み」が残っているとのこと。

ハラプリ
ハラプリ
「どこらへんに痛みがあるの?指でさしてみて。特に痛みが出る姿勢はある?」
マヤオ
マヤオ
「。。。。。」

指さすのは、L4、L5の棘突起の中間あたり。体幹の伸展で痛みがつよいとのこと。NRS8程度はある。
下肢への放散痛やしびれはない。
痛みが出る体幹の伸展肢位で同部をよく診てみると、L4/5の高位に「へこみ」ができる。しかし、その上下の脊柱は硬く(mobilityが低下しており)、脊柱伸展の動きはほとんど見られない。

L4、5の棘突起を、ぐっと前方に押し込みと、「いつも感じる痛み」がある。

マヤオ
マヤオ
「ハラプリ先生、私の、わたしの腰を治して下さああああい!!

、、ああ、、、、腰が、腰が、、、、、。

もう明日から仕事に来れない。。。ぐあああああああああ!!」

ハラプリ
ハラプリ
(声がでか・・・。私の繊細な耳が・・・・・)

それは大変だ!!ただでさえ人手不足なのに!

昼休みの時間はあと5分程度である。

5分で臨床推論をたて、評価し、トレーニングを指導してください!!

【臨床推論】

① 体幹の伸展のような「同じような動きで痛みが出現」するので、メカニカルストレスによる痛みと考えた。

② では、痛みの原因の組織は何か。また、圧迫ストレスか伸長ストレスであるかを見極める必要がある

③ 痛みの発生する箇所には、骨、靭帯、筋がある。下肢への放散痛がないため、椎間板によるヘルニアや脊柱管狭窄は除外できる。

「じわじわ、鈍痛」から考えると、骨や筋の痛みが考えられ、同時に、体幹伸展で痛むという症状から、「棘突起」のぶつかりによる痛みの可能性が考えられる。

⑤ 症例は体幹伸展でL4/5に「へこみ」(前方滑り?)が生じ、その上下脊柱のmobilityが低下している。

これらのことから、L4/5の過可動により、棘突起がぶつかり、痛みが出現(圧迫ストレスによる痛み)した、と考えた。

⑥ この痛みを即時的に減少させるにはどうしたらいいか、が評価につながる。

⑦ それには、次のA、Bの方法がある。

A  筋活動を用いて脊柱の安定化機構を高め、L4/5の過可動を抑える
B  隣接する椎体間のmobility(ここでは上位椎体)をだし、相対的にL4/5の動きを抑える

ハラプリ
ハラプリ
【PTハラプリのハラプリポイント】
脊柱(特に腰椎)の安定化機構には様々な議論があり、私にはどれが正しいのか判断がつきません。

脊柱安定化機構の理論の変遷については、「非特異的腰痛の運動療法 荒木英明著  医学書院」に詳しく書いてあります。
私は、脊柱の安定化について、何が必要か、下記のように考えています。

①腹横筋や内腹斜筋などの、いわゆる「インナーマッスル」の強化
②多裂筋などの脊柱周囲の「ローカル筋」の強化
③腰椎および仙腸関節の前方支持組織の代表である大腰筋、胸腰筋膜へとつながる大殿筋の強化
④股関節の可動域向上による下位腰椎へのメカニカルな負担の減少

いずれにせよ、症状に即した方法をチョイスすることが大事です。

【評価】

Aに関して、座位で下腹部を凹ませながら(ドローインしながら)、両下肢を挙上させることで、腹横筋、内腹斜筋、大腰筋の筋力強化を3分行った。

➡施行後、NRSは5だった。

Bに関して、臥位で上位腰椎~胸腰椎移行部にタオルロールをいれ、3分間保持した。

➡施行後、NRSは0だった。
加えて、施行前より体幹伸展可動域が大きくなった。

【臨床推論リセット】

①脊柱安定化機構へのトレーニングよりも、上位腰椎の可動域を拡大した方が、除痛効果が高かった。これは、タオルロールにより上位腰椎~胸椎下部のmobilityを拡大させることで、体幹伸展時の腰椎の動きを上位椎体に分散でき、その分、L4/5の過可動性を減らすことができたためと考えられた。
②すなわち、指導するトレーニングは、下記。

【トレーニング】

臥位で上位胸椎~胸腰椎移行部に当たるようにタオルロールを入れる×3分/1日

 

マヤオ
マヤオ
「ああ、ハラプリ先生、本当に良くなりましたわ。ほら、ごらんのとおりっ!!」

さーーーーっ

ハラプリ
ハラプリ
「消えた。。。。?ひょっとしてパック?」(ガラスの仮面を読んだ人しかわからんなあ)

ハラプリの5分で臨床推論を立てよ⑲<終わり>

*(当サイトのイラストは、理学療法士・作業療法士・スポーツトレーナー等の専門職が、自主トレーニング指導のために利用することを目的としています。
正しい利用がされない場合に生じたトラブルに関しては、一切責任を負いかねます。)

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