5分で臨床推論

第24回:「カバンを持ち上げると、肘の外側が痛い」

こんにちは、PTハラプリです。

わたしはPTなんですが、臨床では、首をはじめ、肩、肘、手首、手指とか、いわゆるOTさんの領域も、診ることがあります。

そんなことがあってもいいような気がします。

OTさんが職場にいないこともありますしね。

運動学や解剖学をもとに患者を診る、そこから逸脱しなければ、結果が出せます。

痛みに関して言うと、痛みを発している局所の機能をとらえ、よく考えることが問題の解決につながります。

それは、上肢だろうが下肢だろうが、体幹だろうが同じです。

【症例】

トーマスさんは、ハラプリの近所に住む陽気なおじさんだ。

トーマスさんの奥さんがハラプリ勤務する施設のデイに通っていることもあり、ハラプリとも面識がある。

年齢は70代前半。

ハワイ出身でアロハシャツが妙に似合う。

(多分、アロハシャツ以外着こなせないのだろうと思う。)

若いころは筋肉質だったが、最近は筋肉が落ちてしまったことを気にしているようだ。

それ以外はこれといった持病はなく、健康そのもの!とのことだが・・・・。

実は、ちょっとした悩みを抱えていたのである・・・・。

2年ほど前から左肘の外側に、痛みを感じるようになった。

原因となるようなきっかけはなく、気付いたらいつのまにか痛くなっていた。

カバンなどを持つと、「ズキン」とする。

ま、カバン持たなきゃいいのだし、医者に行く程でもなく、そのうち治るだろうと放っておいのだが、ハラプリと世間話をするうちに、ふと思い出してその話になった。

トーマス
トーマス
「ハラプリさーん、ワタシの肘、痛いね。
こうやると痛いのよですた~い。」

上の図のように、肘関節を屈曲位、手関節背屈位で、カバンを持つとズキンとするので、重たいものを持てなくなったという。NRSは7とのこと。

「トーマスさん、
その場所で痛みがあるということは、いわゆるテニス肘、ってのが考えられますが、整形外科に行きました?
痛み止めの注射で良くなりますよ?」

(ですたい?って?どっかで聞いた・・・・?)

トーマス
トーマス
「ノーノ―、前にね、右のテニス肘になったけど、今度の左肘の痛いところは、それより下なんでごわーす」
(。。。でごわす?)

「トーマスさん、ちょっと肘を伸ばして。。。このイスを持てますか?」

ハラプリがやったのは、テニス肘=上腕骨外側上顆炎へのテストで用いる「chair テスト」である。

テニス肘であれば、痛くてとても持ち上げられないはずである。

トーマス
トーマス
(イスを軽く持ち上げて)

「まあ、痛いコトは、ちょっとは痛いケドね。
いつもの痛みではないのでありんすー」

(ありんす。。。。?)

「これは、テニス肘じゃあないなぁ・・・・?なんだろ?」

さてさて、これは考えどころだ。

だいたい、トーマスさんは、利用者さんのご家族であって、PTやらなくてもいいんだよな。

(・・・・でも、こういうちょっとした相談受けること結構ありますよね。
医者に行くほどでもないんだけど、ちょっともやもや困っているというやつ。)

でも、ハラプリ的には興味深い。

「ですたい」とか「ありんす」とか、どっかで聞いたことがあるフレーズだし。

トーマスさんは、奥さんの介護も頑張らなきゃいけないしね。

ここは、5分で臨床推論をたて、評価し、プログラムを立案して、家族のお悩み相談に答えようではないか!!

【臨床推論】

①メカニカルストレスによる痛みであることは間違いない

②ある一定の動きで痛みが起こるので、そのストレスの原因を見つけ出す必要がある

③痛みがでる場所から考えて、骨、筋、関節、関節に付着する靭帯、関節包などが考えられる

④もう少し詳しく、痛みのある場所を解剖学的にとらえてみる。
すると、痛みは関節(腕橈関節or橈尺関節)、もしくは関節に付着する靭帯(特に輪状靭帯)から生じている可能性が高いと考えられる。

筋に関しては、腕橈骨筋の可能性もあるが、筋の起始部や筋腹ではないので、伸長ストレスによる痛みの発生はあまり考えられない。

関節包では、部位が微妙にずれているので考えに入れないことにする。

⑤さて、結局のところ、痛みを出しているのは、関節なのか? 靭帯なのか?

後半へ続く!

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