5分で臨床推論

第三回:円背と膝の痛み

PTブログ:ハラプリの5分で臨床推論を立てよ③

今回は、円背と膝の痛みについてです♪

ハラプリ
ハラプリ
「こんにちは~、某施設で勤務しております、PTハラプリと申します。

解剖学と運動学から患者を診る、そこから逸脱しない、ということを心掛けています!!」

運動学や解剖学をもとに患者を診る、そこから逸脱しないことが大切と考えます。

運動学・解剖学を離れてしまっては「もやっと」してしまうのです。

運動学・解剖学は「1+1=2」の世界です。自分にとっては「すっきり」するんです。

症例が体現する現象を、とことん考えると、「これ以外には、ない。ああ、すっきりした」ところまでたどり着くことがあります。

さて、今回の症例は・・・・・。

(*症例検討は、症例ごとに、症状が複雑に絡み合うので、ここでアップするように簡単にはいきません。)

(*このブログでのお話は、臨床でよくみられる症例をデフォルメしながら書いてます。)

【症例】

75歳 女性。胸腰椎移行部の圧迫骨折の既往あり(詳しくは分からない)。

最近、歩行時に左膝の内側が痛くなってきた。腫れや熱感はないが、軽度の内反膝(O脚)である。

痛いところを聞くと、左膝の内側の、裂隙あたりを指さす。

姿勢は円背気味で、歩行は膝を曲げて歩く。

さて。

今日は、職場の同僚が風邪をひいて休みの上、このあと、新患評価に行かなければならない。

マジで五分くらいしかない。

五分で臨床推論をたて、評価し、トレーニングを指導してください!

【臨床推論】

①痛みのある個所は、左膝関節内側の、裂隙付近の荷重時痛である。

関節への圧迫による痛みと単純にとらえてみる。いわゆるメカニカルストレスである。内反変形などのアライメントが関係している。

②炎症症状はないので、ケミカルな痛みではない。運動療法はできそうだ。

③症例は、円背で膝を曲げて歩く。

④そのため、内反変形による痛みが出現すると考えられる。

⑤膝関節の内反抑制は、膝関節の外側に付着する筋(大腿二頭筋、腸脛靭帯:大殿筋-大腿筋膜張筋-外側広筋、膝窩筋、腓腹筋外側頭)や、外側広筋を介した膝蓋支帯の役割である。

大腿二頭筋とは?
起始:①長頭は坐骨結節 ②短頭は大腿骨の粗線外側唇下方1/2
停止:腓骨頭、下腿筋膜
特徴:外側ハムストリングスと呼ばれ、股関節の安定性を保ち、体幹が屈曲するのを防ぐ役割をしている。
主な働き:膝関節の屈曲、膝屈曲時に下腿を外旋、股関節の伸展
  股関節の安定性を保つ。長頭は、大腿を固定すれば骨盤を後傾させる。
「筋肉のしくみ・はたらき辞典」より
西東社 石井直方監修

大腿筋膜張筋とは?
起始:上前腸骨棘、大腿筋膜の内面
停止:腸脛靭帯を介して脛骨外側顆の下方に停止する
特徴:中殿筋の前面位置する。
主な働き:股関節の外転・屈曲・内旋、膝関節の伸展
  膝や股関節を安定させる。歩行や走行時にまっすぐ足を出させる。
「筋肉のしくみ・はたらき辞典」より
西東社 石井直方監修

⑥上記の筋のいずれかに筋力低下やアトロフィがあれば、それが原因だと考えられる。

⑦しかし、全体のアライメントを考えると、円背があれば、結局、外側側副靭帯はゆるみ、内反変形が起こってしまうことが予想されるから、円背にも配慮しなければならないだろう。

【評価】

・大腿筋膜張筋の筋力(股関節屈曲位、つまり座位で、膝関節伸展し、股外転)はMMT右5/左3+。下腿は筋力低下なし

・視診、触診では左大腿外側部の筋は、右に比べ、のっぺりしていて、柔らかい。

・腰椎は後湾があり、伸展方向の可動性低下がある。

・ついでに、マクマレーテストは陰性(蛇足だが)。

マックマリーテストとは?(McMurry test)

主に半月板損傷のチェックを行うもの。下腿を内方へ捻転したときのクリック音は外側半月板損傷、外方へ捻転したときは内側半月板損傷を示す。

膝に急性の炎症を持っている場合は、炎症をさらに悪化させてしまうことにもつながりかねないので、無理をしないこと。

【トレーニング】

①大腿筋膜張筋の筋トレ 左のみ30回×2セット/日。セラバンド使用

②体幹伸展の筋トレ 30かい×2セット/日。セラバンド使用

③臥位で腰椎の下にタオルロールを入れる(痛みがなければ)




上記を1~2週間くらい行ってもらって、様子を見ることとする。

*膝は不安定な関節といえる。安定化は膝周囲の結合組織が担う。

また、筋腱移行部や、膝蓋下脂肪体などの軟部組織にも自由神経終末が多く痛みが出やすいと言える。

こういった軟部組織の評価も必要かもしれない。

*(「ハラプリの5分で臨床推論を立てよ」では、臨床でよくみられる症例をデフォルメしながら書いてます。)

*(当サイトのイラストは、理学療法士・作業療法士・スポーツトレーナー等の専門職が、自主トレーニング指導のために利用することを目的としています。
正しい利用がされない場合に生じたトラブルに関しては、一切責任を負いかねます。)

ハラプリの5分で臨床推論を立てよ③<終わり>

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