PTブログ:ハラプリの5分で臨床推論を立てよ⑮
皆さんは、臨床で何を心掛けていますか?
(*’▽’)/
PTハラプリおじさんです。
(変なおじさんじゃありません。ありませんてば!)
解剖学と運動学から患者を診る、そこから逸脱しない、ということを心掛けています。
患者さんを目の前にして、私が一番信頼している教科書は「現象」です。
現象は嘘をつきません。
現象を理解するためのツールは、解剖学と運動学です。
現象を客観的に、素直にとらえることが大事です。
患者さんの抱えている問題点は、実は、多くはありません。
私は「PTの世界では、知識や手技が先行し過ぎている」と考えます。
それに頼ってしまい、「深く考えること」を止めてしまわないで欲しいのです。
【症例】
機能訓練特化型デイに通う70代男性。
左大腿骨頸部骨折でTHAの既往(詳細不明)あり。
*THAとは?・・・・全人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)のこと。
一般的に、疼痛の軽減、股関節の可動域の改善、筋力や安定性の改善のために施行される手術です。
左立脚期で左へHip swayし、不安定感が強くあるので、見て欲しいとのこと。
*hip swayとは?・・・・骨盤の側方移動のことです。
・・・・ハラプリさん・・・・・○○さんですけどね・・・・・。
左の立脚で腰が左にswayするでしょ?
・・・・なんか、左にそのまま倒れそうで・・・・・・。
ほら、こんな感じなので・・・す・・・・・。
・・・・・・・・・・。
うわああああああああっ!!があああああ!!(ばたっ)」
\(◎o◎)/ なんだなんだ!!
なに、演技だと??
・・・・・・おい!!
しかも、大げさな割には、下手だぞ。
患者さんの歩容をマネできてないぞ!!!
きちんと歩行分析できてないと、マネできないんだぞ!
新人PTの「マヤオくん」は痩せてよろよろしている。
乃木坂46とロボットアニメが好きらしい。
いつもは大人しいのに、学生時代演劇部の部長だったからなのか、突然取りつかれたように何者かを演じ始める危険な若者なのだ・・・・。
ヘビトカゲ君といい、マヤオ君といい、うちのリハ室には濃い人物が多過ぎる。
まともなのは・・・・・・。
・・・・・名前、ハラプリだけど・・・・)
さ、さて、歩容の特徴的なところを挙げてみよう。
前額面と、矢状面を見てみよう。
<前額面>
①左立脚相FFからHip swayが起こり始め、Mst以降もswayが継続しTOまで続く。
*FFとは?・・・・足底接地(foot flat)
*Mstとは?・・・・立脚中期(Mid stance)
*TOとは?・・・・足指離地(toe off)
下肢全体はHip swayに伴って、左外側へ傾斜する。
立脚後期TOで、Hip swayが最大になり、左側に倒れそうになる。
左立脚時の右骨盤の下制(すなわちトレンデレンブルグ)は、さほどではない。
*トレンデレンブルク
立脚期の股関節外転筋群の筋活動が十分でないと、遊脚期側の骨盤が下制します。
トレンデレンブルクが生じると、重心動揺が大きくなるので、歩行の効率が低下します。
変形性股関節症では、軟骨の破壊・摩耗が進んでしまいます。
②足部接地に左右差があり、左はずいぶんとtoe outである。
*toe out・・・・足関節外転、外反位。進行方向に対して足尖が外側に向く。
toe in ・・・・足関節内転、内反位。進行方向に対して足尖が内側に向く。
<矢状面>
左立脚中期以降の下腿の傾斜方向に特徴がある。
症例はtoe outしている趾先の方向へ、そのまま前側方へと傾斜していく。
(通常、toe outであっても、下腿は進行方向へ前方傾斜していく。)
「・・・・中殿筋の筋力評価は、繊維の方向をよく考えてやってみたのかな?」
*くわしくは、第七回:股関節MMT5/5なのにデュシャンヌ型歩行??をどうぞ!
このお話では、股関節MMT5/5なのにデュシャンヌ型歩行が??。中殿筋の評価をしたのですが、筋委縮が生じている繊維と大腿とが一直線になるように(すなわち教科書に載っているとおりに)評価しなかったために・・・・・。
い、いや、まさか。私の繊細な耳では、低音域すぎて聞こえぬだけだ・・・!
聞こえるまでマヤオ君の話をよく聞いてあげたいが、このあとすぐ「新人教育トレーナー会議(なにそれ)」に出なくちゃならない。
5分で臨床推論を立て、評価し、トレーニングを提示してください!!
<続く!>