*このお話は、第15回の左立脚でHip swayし、そのまま左へ倒れそうで怖い症例①の続きです。
まだ読んでない人は、まず、左立脚でHip swayし、そのまま左へ倒れそうで怖い症例①を読んでね!!(^_^)
【臨床推論】
①左立脚での骨盤のswayをどのように考えればいいのか。
中殿筋が原因であればトレンデレンブルグが出現するだろうと思うが・・・・・。出ていない。
②もう一つ考えられるのは、左外側縦アーチの低下だ。
外側縦アーチを形成するのに重要な、腓骨筋の筋力低下ととらえてもよさそうだが・・・・・・。
*足のアーチとは?
足のアーチには、①内側縦アーチ ②外側縦アーチ ③横アーチの、三種類があります。
アーチは、成長とともに高くなり完成します。
アーチにより、足底にかかる体重は、分散されます。
①内側縦アーチ・・・・土踏まずを形成します。
踵骨~距骨舟状骨~内側楔状骨~第一中足骨にかかります。
後脛骨筋・前脛骨筋・長母指屈筋・長指屈筋・母指外転筋が、アーチを維持します。
②外側縦アーチ・・・・バランスと関係します。内側縦アーチに比べると、アーチの高さも低く、皮膚を含めた軟部組織で接地しています。
踵骨・立方骨・第五中足骨にかかります。
長腓骨筋・短腓骨筋が、アーチを維持します。
長腓骨筋は踵骨を引き、短腓骨筋は第五中足骨頭を引きます。
③横アーチ・・・・内側縦アーチと外側縦アーチの間にできます。
足根骨レベでは、内側・外側・中間楔状骨と立方骨から成ります。
中足骨レベルでは、五本の中足骨から成ります。
足背骨間筋・底側骨間筋がアーチを維持します。
長腓骨筋・短腓骨筋
腓骨筋は、外果を滑車とし、足底面に入ります。
長腓骨筋は、足部を外反させ、足関節を底屈させます。
短腓骨筋は、足部を外転させ、足関節を底屈させます。
足部の横アーチを保持します。
両筋とも、起伏のある地面を歩くときなどで働きます。
③しかし、症例はMstからHOにかけて、下肢の外側傾斜が大きくなっていく。
腓骨筋による外側縦アーチの作用は立脚中期で働くので、Mst~HOにかけて骨盤のswayが継続することが説明できない。
*Mstとは?・・・・立脚中期(mid stance)
*HOとは?・・・・踵離地(heel off)
④では、何が原因か。
・・・・別の視点で見てみよう。
症例は、左の足部接地でtoe out(足部の外転・外反)が強い。
また、立脚期での下肢の外側傾斜に伴い、矢状面では下腿が前傾する。
⑤通常、足部が外転位でも、歩行の際の足関節は「背屈・外転・外反」するため、下腿は「進行方向に前傾」していく。
しかし、症例は「足趾の方向に」前傾していく。
これは変だ。
なぜ、症例は通常の動きができないのか?

⑥症例の左立脚初期の足部は、toe outが強い。
この時点で、足部はすでに「外転・外反」が強いられている、と考えられる。
外転・外反から、通常通りに足関節背屈方向へ動くと、さらに足部の外転・外反を強めてしまう。
症例は「何らかの理由」で、これを避けているのではないか。
⑦では、「何らかの理由」とは何か?
足部の外転・外反は「距骨下関節の回内」である。
*距骨下関節とは?
・・・・・踵骨と距骨の間の関節で、顆状関節です。
外転・内転運動と、外返し・内返しの運動が可能です。
距骨下関節の過度な回内方向への動きで、ストレスが大きいのは、三角靭帯への伸長ストレス(特に後部繊維)である。
⑧ひょっとして、左三角靭帯周囲になんらかの問題があるのでは?
*三角靭帯って、どこだっけ?
三角靭帯は、距腿関節および距骨下関節の内側を補強する靭帯です。
脛骨内果より三角形に広がる、強靭な靭帯です。
前脛距部・脛舟部・脛踵部・後前脛距部があります。
三角靭帯損傷は、足部の外返し強制によって発生します。
また、三角靭帯の拘縮は、内反尖足の原因にもなります。

・・・・改めて、足部のアライメントや、軟部組織の状態、痛みなどをよく見てみよう。
足部の動きを運動学的に表記するのは、なかなかややこしいです。
例えば、足部の「外反」は、距骨下関節では「回内」ということになります。(図を参照)
足関節は「内転⇔外転」「背屈⇔底屈」「回内⇔回外」などの動きに加え、それらの組み合わせである「外返し」「内返し」などもあります。
ややこしいのですが、覚えるしかありません。
*・・・・外返し・内返しの複合運動
外返しは、回内・外転・背屈。
内返しは、回外・内転・底屈です。

そんなに、難しかったかな?
・・・・・腹式呼吸の練習です・・・・・・。
<続く!!・・・・・らしい!(*’▽’)>