*今回の症例は??
機能訓練特化型デイに通う、70代の男性です。
左大腿骨頸部骨折で、THAの既往(詳細は不明)があります。
左立脚相FFからHip swayが起こり始め、Mst以降もswayが継続し、TOまで続き、不安定感が強いです。
右骨盤の下制(すなわちトレンデレンブルグ)は、さほどではありません。
足部接地に左右差があります。
左はずいぶんとtoe outです。
左立脚中期以降の下腿の傾斜方向に特徴があります。
toe outしている趾先の方向へ、そのまま前側方へと傾斜していく傾向があるります・・・・・。
*まだ読んでない人は??
左立脚でHip swayし、そのまま左へ倒れそうで怖い症例①
左立脚でHip swayし、そのまま左へ倒れそうで怖い症例②
から読んでね!!(^_^)
【評価】
・立位でのstatic alighmentは、左が右に比べて、足部が回内位(外反偏平足)であった。
*static=静的
・左内果の下方(三角靭帯の部分)に圧痛があった。
他動的に足関節を外転・外反・背屈をすると、伸長痛があった!!
*三角靭帯って?
三角靭帯は、距腿関節および距骨下関節の内側を補強する靭帯です。
脛骨内果より三角形に広がる、強靭な靭帯です。
前脛距部・脛舟部・脛踵部・後前脛距部があります。
三角靭帯損傷は、足部の外返し強制によって発生します。
また、三角靭帯の拘縮は、内反尖足の原因にもなります。
・ついでに、筋力は左腓骨筋、左後脛骨筋、左下腿三頭筋の筋力低下があった。
主な働き:足関節の底屈、足の外反
下腿の外側面に位置します。
長腓骨筋・短腓骨筋があり、外反の主力筋です。
足裏外側縦アーチと横アーチを保持します。
後脛骨筋
主な働き:足関節の底屈・足の内反
下腿後面の中で、最も深層にある筋です。
内側縦アーチを維持します。
つま先立ちや自転車のペダルの踏み込み動作などで働きます。
腓腹筋・ヒラメ筋のこと。
腓腹筋:足関節の底屈・膝関節の屈曲
ヒラメ筋:足関節の底屈
つま先立ちなどの動作で働く。
ランニング動作や跳躍動作など、多くの動作で働きます。
「筋肉のしくみ・はたらき辞典」石井直方監修 西東社

【臨床推論リセット】
①左三角靭帯部に疼痛があり、それを避けるために、下腿の足趾方向への前傾を強めた歩行を行っていた可能性がある。
これが下肢の側方傾斜とHip swayを強め、不安定な歩行になった。
②立脚で、距骨下関節が回内位になることが三角靭帯への伸長ストレスとなっていた可能性がある。
*距骨下関節回内位とは?

*足部の動きを運動学的に表記するのは、なかなかややこしいです。
例えば、足部の「外反」は、距骨下関節では「回内」ということになります。
足関節は「内転⇔外転」「背屈⇔底屈」「回内⇔回外」などの動きに加え、それらの組み合わせである「外返し」「内返し」などもあります。
ややこしいのですが、覚えるしかありません。
③では、距骨下関節を回外方向の力を発揮させることで、三角靭帯への伸長ストレスを軽減できるのではないか。
④距骨下関節回外に作用する筋は、下腿三頭筋や後脛骨筋が挙げられるが、簡単にトレーニング出来て一番効率が良いのは下腿三頭筋である。
⑤では、下腿三頭筋のトレーニングを指導し、様子を見てみることとする。
【トレーニング】
上記 30回×1セット / 日。
*期間は2週間で、その後再評価を行うこととする。
(・・・・しかし、ひょっとしたら症例は(診断はないが)、ごく軽度の左片麻痺があったのかもしれないな、とも思う。
痛みを避けるための歩行としても、バランスを崩すほどのswayはなかなか起こるものではない・・・・。)
患者さん、とてもよくなりました。
swayが減って倒れそうな感じがなくなったし、ついでに、歩行スピードが上がったんです!!」
前足部荷重が出来るようになったから、スピードが上がったと考えられるね。」
見てください、僕の歩行分析。
・・・患者さんの歩容を真似して見せます・・・。」
な、なにい??
マヤオ君の表情が変わり、なにかに取りつかれたように、立ち上がり、歩き始めた!?
( ゚Д゚)!!
完璧な模倣だ!
完璧な模倣は、完璧な歩行分析ができてこそ・・・。
この短期間でここまで行えるようになったとは・・・・・。
もしかしたら、模倣(演技)の天才か?」
マヤオ・・・・おそろしい子・・・・・!!」
何してるんですか??
遊んでないで、仕事してくださ~い!!」(^▽^;)
<続き・・・・・・ませんw>