5分で臨床推論

第一回:ふらつき・よろめき

PTブログ:ハラプリの5分で臨床推論を立てよ①

はじめまして!!

PTブログ「ハラプリの5分で臨床推論を立てよ」では、理学療法士のお仕事を、ストーリー仕立てで楽しく紹介します。

臨床推論を立て、評価し、訓練メニューを作成するまでの流れと、使用する自主トレーニングのイラスト例を、ご覧ください!

ハラプリ
ハラプリ
みなさん、こんにちは!!

某施設で働く、PTハラプリといいます。

解剖学と運動学から患者を診る、そこから逸脱しない、ということを心掛けています。

どうぞ、よろしくお願いします!!

(*’▽’)

(*このブログでのお話は、臨床でよくみられる症例をデフォルメしながら書いてます。)

第一回目のテーマは、「ふらつき、よろめきについて思うこと」です。

【症例紹介】

70歳の女性。

最近、歩いているとよろけることがある。

転んだことはないが、なんとなく怖いので、最近、日課のウォーキングをやめた。

何とかならないか。という相談を受けた。

特に既往はない。

歩行観察では、左MSt~反対側のICで左側によろけてしまう。

   MSt・・・立脚中期(Mid Stance)
   IC・・・ 初期接地(Initial Contact)

・・・・・さて。

あなたの働いているのは老健では、利用者がたくさんいる。

一人の評価にかけられるのは、せいぜい5分くらいです。

あなたなら、どういう臨床推論をたて、どう評価し、どんなトレーニングを指導しますか?

5分で臨床推論を立てよ!!

【臨床推論】

①症例は特記すべき既往がないということなので、脳血管疾患による神経症状はひとまず置いておいて、考えないことにしよう。
 

*実際のバランス機能には、神経筋機能・視覚・体性感覚・前庭覚・などの多くの機能が、複雑に絡み合います。さらに、認知機能も重要な役割を果たしています。
(=゚ω゚)ノ

②「よろめき=バランスを崩す」ということで考えてみよう。

バランス戦略には、「股関節戦略、足関節戦略、ステッピング」などがあるが・・・・・。

バランス戦略ってなあに?
立位時の姿勢制御戦略には、
足関節戦略(ankle strategy)
股関節戦略(hip strategy)
ステッピング戦略(stepping strategy)

が、あります。

足関節戦略は、足関節を中心とした運動で反応します。
股関節戦略は、股関節の運動で反応します。
両方とも、固定した支持面での戦略です。

ステッピング戦略は、支持面を変化させる反応です。
支持面が固定している足関節戦略や股関節戦略よりも、ステッピングの方が安定性が大きいと言われています。

一般的には、高齢者は、足関節戦略よりも、股関節戦略を用いる傾向があると言われています。

高齢者は、一回のステッピングでは立ち直り切れないので、複数のステップを踏みます。
そのため、ますます転倒の危険性が高くなります。

③歩行周期中の左MS~反対側ICによろけることから、左立脚相後期に、なんらかの問題があると考えられる。

④立脚後期に働く筋は、下腿三頭筋や足趾屈筋が主体。

(もちろん、大腿筋膜張筋なんかもあるが、それなら立脚後期に特にふらつきが見られるというのとは合わず、「もやっと」してしまう)

⑤ということは、症例は、左の下腿三頭筋もしくは足趾屈筋の筋力低下を起こしており、「足関節戦略」がとれないのではないだろうか。

⑥では、下腿三頭筋・長趾屈筋・長母指屈筋を評価してみよう!!

【評価】

・下腿三頭筋のMMTは右5/左3であった。
長趾屈筋や長母指屈筋には、著明な筋力低下はなかった。

・腹臥位で下腿三頭筋の筋ボリュームを比べると(視診、触診)、左にアトロフィーがあった。
右の方が盛り上がって見え、左の方がのっぺりしていた。

・臨床推論(症例は、左の下腿三頭筋もしくは足趾屈筋の筋力低下を起こしており、「足関節戦略」がとれない)と比べると、違和感はなく、すっきりしている!

【トレーニング】

①立位で下腿三頭筋の筋力強化(左側に重心をかける)×30回×2セット/日

ヒールライズの自主トレイラストヒールライズ

*上記を、まずは1か月くらい行ってもらう。そして効果を見る。

*評価では、足趾屈筋の筋力低下も捨てきれないが、5分しかないので上記が限界。
まずは効果を見て、ふらつきが治まらなければ足趾屈筋の再評価を行ってみよう!

ハラプリ
ハラプリ
いかがだったでしょうか?

こんな感じで私は、解剖学と運動学をもとに患者を診ることを大切にしています。

良かったら、次回もよろしくお願いします!!

*(「ハラプリの5分で臨床推論を立てよ」では、臨床でよくみられる症例をデフォルメしながら書いてます。)

*(当サイトのイラストは、理学療法士・作業療法士・スポーツトレーナー等の専門職が、自主トレーニング指導のために利用することを目的としています。
正しい利用がされない場合に生じたトラブルに関しては、一切責任を負いかねます。)

*(次回は、第二回:イスになだれ込む です!!)

ネタ提供:PTハラプリ
編集:PT・Ogawa

ハラプリの5分で臨床推論を立てよ①<終わり>

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写真素材 PIXTA