5分で臨床推論

第二回:イスになだれ込む

PTブログ:ハラプリの5分で臨床推論を立てよ②

今回で2回目になります。

(*’▽’)こんにちは!!

さて、ハラプリさんに登場してもらいましょう~。

ハラプリ
ハラプリ
こんにちは~!

PTハラプリといいます。

PTブログ「ハラプリの5分で臨床推論を立てよ」では、臨床推論を立て、評価し、訓練メニューを作成するまでの流れと、使用する自主トレーニングのイラスト例を、ストーリー仕立てで楽しく紹介していま。♪

どうぞよろしくお願いします!!

(*なお、このブログでのお話は、フィクションです。臨床でよくみられる症例をデフォルメしながら書いてます。)

第ニ回目のテーマは、「イスになだれ込む」です。

【症例紹介】

85歳、施設入所中の女性。

軽度の認知症あり。

明確な診断はないが、パーキンソン様の症状がある。

歩行は軽度の小刻み歩行で、すくみ足や突進現象はないが、不安定さがある。

施設では、見守り歩行でADLを行っている。

施設のベテラン介助者さんから、

「〇〇さん、なんとか歩けるんだけど、イスに座るとき、いつもぐらっとして、なだれ込むようにドスンと座るのよ。
危ないので、なんども注意してるんだけど同じだから、ハラプリ先生からゆっくり座るように言って下さいっ!キッ!」
と言われた・・・・。

イスに座るところを見てみると、方向転換をしている時に、バランスを崩しているようだ。

練習指示には従える。

・・・・・・・さて。

いつものことながら、利用者さんが次から次へとやってくる。

あなたには五分しかない。

あなたなら、どういう臨床推論をたて、どう評価し、どんなトレーニングを指導しますか?

5分で臨床推論を立てよ!!

【臨床推論】

・バランスを崩す、という観点から、バランス戦略について考えてみよう!!

バランス戦略ってなあに?
立位時の姿勢制御戦略には、
足関節戦略(ankle strategy)
股関節戦略(hip strategy)
ステッピング戦略(stepping strategy)

が、あります。

足関節戦略は、足関節を中心とした運動で反応します。
股関節戦略は、股関節の運動で反応します。
両方とも、固定した支持面での戦略です。

ステッピング戦略は、支持面を変化させる反応です。
支持面が固定している足関節戦略や股関節戦略よりも、ステッピングの方が安定性が大きいと言われています。

一般的には、高齢者は、足関節戦略よりも、股関節戦略を用いる傾向があると言われています。

高齢者は、一回のステッピングでは立ち直り切れないので、複数のステップを踏みます。
そのため、ますます転倒の危険性が高くなります。

・症例は高齢で、かつ、パーキンソン様であるので、足関節戦略は用いていないだろうと考える。

同じ理由で、ステッピングも外して行こう・・・。

・残る候補の、股関節戦略について考えてみよう。

歩行のときではなく、方向転換のときにバランスを崩す、というのがポイントだろうと考えられる。

方向転換のときは、イスに対して身体を横向きにする→→お尻を向ける→→着座となる。

そして、横向きになるには、重心の側方移動が伴う。

そこでは、股関節には内転モーメントが働く。

それを打ち消す股関節外転モーメントが十分に出せなければ、基底支持面より重心が逸脱し、結果的に「なだれ込む」のではないだろうか・・・・・。

・それでは、股関節の筋力・可動域を評価してみよう!

【評価】

・著明な股関節の可動域制限はなかった。

・運動麻痺はなかった。

・股関節外転筋力は、MMT右2+/左3であった!

・推論(股関節外転モーメントが不十分なために、基底支持面より重心が逸脱し、結果的に「なだれ込む」)と比べると、違和感はない・・・・・。

・ただし、残されているところもある・・・・。
 着座の際の大腿四頭筋、大殿筋筋力だが、評価している時間はない。

【トレーニング】

①側臥位で股関節外転×20~30回(できるだけ)×1セット

側臥位での股関節外転の自主トレイラスト側臥位での股関節外転

*大腿四頭筋はすぐに評価できるから、行っても良かったかもしれない。
まずは上記のトレーニングを行い効果を見て、仮説が正しくなかったら、新ためて評価してみることにする。

ハラプリ
ハラプリ
・・・・いかがだったでしょうか?

良かったら、次回もよろしくお願いします!!

*(「ハラプリの5分で臨床推論を立てよ」では、臨床でよくみられる症例をデフォルメしながら書いてます。)

*(当サイトのイラストは、理学療法士・作業療法士・スポーツトレーナー等の専門職が、自主トレーニング指導のために利用することを目的としています。
正しい利用がされない場合に生じたトラブルに関しては、一切責任を負いかねます。)

*(次回は、第三回:円背と膝の痛み です!!)

ネタ提供:PTハラプリ
編集:PT・Ogawa

ハラプリの5分で臨床推論を立てよ②<終わり>

PIXTA:おがわのページ
写真素材 PIXTA