ハラプリは、悩んでいた。(前回の記事はこちら♪)
何かを見落としているのではないか。
私としたことが・・・何か・・・・何か重要な視点を見逃しているのでは・・・・。
・・・・・そして、10分後。
・・・・・いつものハラプリである。
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数日後、イノウエさんが再びやってきたので、しびれの具合を聞いてみると、
でも、いまいちしびれが残ってる感じです、気長にやります。。ははは。。。。。は。。。」
・・・・暗い。
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その日の昼休み、もう一度、イノウエさんのアライメントや筋の状況などを見せてもらうことになった。
前額面でのアライメントは、前述の通りで、右肩甲骨が「外転、下制、下方回旋」している。
加えて、Wright`sテストは陽性。
多少の軽減はあるが、パソコン仕事をしている時に手背がしびれて、上肢が重くなってくることに大きな変化はない。
「あれえ?イノウエさん、左の腹側部が、右に比べて痩せてますね?
スラッとしてますよ、これは昔からですか?」
「いやあ、ハラプリさん、そうなんですか?気が付かなかったなあ。
そういや、右の腹側部はちゃんとしていて、中身が詰まった感じなのに、左は痩せて、凹んでますねえ・・・・」
【臨床推論リセット】
・小胸筋のストレッチで症状が軽減傾向であるから、小胸筋の短縮が原因であり、その意味で「小胸筋症候群」であるとみて問題はないだろう。
・しかし、問題はストレッチで完治しないところである。本当の問題点は、他にある。つまり、なぜ「症例の小胸筋は短縮した」のか。
・このことについて、「症例の左腹側部(左腹斜筋の部分)の痩せ」から考えた。
・右小胸筋と同じような働きをするのは右前鋸筋である。
・前鋸筋は、アナトミートレインではスパイラル・ラインであり、右外腹斜筋-左内腹斜筋との筋連結がある。

・症例の腹部の視診・触診では、左腹斜筋に筋委縮があると考えられる。(筋力は精査してない)
・症例は剣道が趣味で、面打ちのための素振りを長年やっていた。運動学的にとらえてみると、面打ちには「肩甲骨の外転」が伴う。
・「肩甲骨の外転」は、小胸筋と前鋸筋との協調した働きが必要とされる。しかしながら、症例は最近、運動不足だという。

・つまり、右肩甲骨外転の際に必要な左内腹斜筋-右前鋸筋の筋連結(スパイラル・ライン)における機能低下を、右小胸筋の筋緊張亢進により補ったのではないのだろうか。
・と、言うことであれば、左内腹斜筋の筋力強化を行えば、症状は改善する、と考えるとスッキリする。
【トレーニング】
①座位で内腹斜筋の強化
座位で両下肢挙上・重心を少し右側にして、左を特に鍛える /5分/日

さて、トレーニングを5分行った後で、改めてWright`sテストを行ってみた。
結果、橈骨動脈の拍動がはっきりと感じられた。
「わははは!!猪突猛進!猪突猛進!」
ブンッ!ブンッ! ブンッ!ブンッ! ブンッッ! メンッ!メンッ!メンッ!
「ハラプリさん!!しびれ、良くなったっすよ!!腕も、軽いぜええ!!!」
ブンッ!ブンッ! ブンッ!ブンッ! ブンッッ! メンッ!メンッ!メンッ!
(・・・・・。良かったけど、さらに変なパワーが上がってしまったな。うーん。)
「ケダモノの呼吸。。。全集中。。!!はああああああ!!」
<PTハラプリのハラプリポイント>
しびれや、痛みに関しては、まず「局所機能」をとらえてみる「クセ」をつけることが大事です。
局所機能がどうなっているかを綿密に考えていくと、目の前に現れている症状の理由が見えてくることが多いです。
しかし、今回の症例のように局所機能をとらえるだけでは、「どうもスッキリしない」事があります。
そういった場合には、視点を広げる必要があるかもしれません。今回は、筋連結の考え方(アナトミートレインのスパイラルライン)を取り入れることにより、局所とは別の、体幹深層筋の機能不全にたどり着き、アプローチをしました。
その結果、症状の改善につながったわけです。
<終>